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アトピー(前編)

ギリシャ語で「不思議、異常」などを意味する「atopos」を語源に持つ、アトピー。現在、日本国内にいるアトピー患者は40万人とも言われ、その治療法も実にさまざまです。温泉治療、保湿療法、漢方薬処方、環境改善……など。その中でも、即効性に優れるステロイド薬を処方されている方は、非常に多いことでしょう。では、ステロイドとは一体なんなのか、簡単にご説明を。

アトピーの要因になるモノとして、副交感神経の働きがあります。自律神経の一部であるこの副交感神経が活発な状態になると、体中にかゆみが発症し、皮膚に炎症をおこします。それを抑えるために、現代医学が開発したのが、ステロイドです。これを処方すると、たちまちかゆみをブロックして、皮膚の炎症を抑え、 アトピー症状を改善させる事が出来ます。

しかし、そのことに警鐘を鳴らす仙人はつぶやく。体にとって一番イイことは、このように精神のバランスを保つこと(やじろべえの様に、ペンを指に乗せる)。でも、ソレが崩れる(ペンの中心をずらす)と、片方に偏ってしまう。これが副交感神経が活発になった状態で、アトピー発症の原因になってしまう。じゃあ、バランスを保つために、反対側に重石を乗せよう(浮いた方を指で押さえる)と、バランスを保つことが出来る。でも、重石がなくなった瞬間、その反動はとても大きくなって、一気に崩れてしまう(ペンが指から落ちる)。この重石こそが、ステロイドという薬で、この反動をリバウンドという。ステロイドを処方すると、リバウンドが辛い為に、一生薬を手放せない体になってしまう。これじゃあ、治療とはいえない。

そう言うと、再び仙人はペンを傾けた状態で指に乗せた。バランスが崩れたのであれば、修正すればいい(指をペンの中心に移動させると、安定した)。そうすると、薬なんかに頼らなくても自然とアトピーなど治ってしまう。この中心のポイントを探すのが、何よりも一番大事なこと。じゃあ、精神のバランスを保つには、どうすればイイのだろうか?それには幾つかの方法があり、その一つとして、まず「砂糖を絶つこと」だと仙人はつぶやく。

糖分が体に入ると、体(精神)がフニャ~と柔らかくなって、幸福感が生まれる。それが、どこから来るかと言うと、副交感神経から来るんだね。それにより、精神のバランスは崩れ、副交感神経が活発になって、かゆみが発症する。だから、砂糖を断ち、精神の核となる心棒を強くしてやる事が大事なんだよね。

仙人自身も、体の調子が悪いときには砂糖断ちを行うようで、そうすることで「体が軽くなる」という。ただ、仙人は付け加えるようにこうつぶやく。ただし、締め付けるのは良くない。「ねばならぬ」という気持ちはストレスになる。それによって、精神のバランスを崩しては、なんにもならないからね。

では、ストレスに感じない、もっと別な方法はないものだろうか?その言葉に応えるように、仙人は一番手ごろな方法を教えてくれた。が、───それは次回のお楽しみ。
※糖分に関しては、別の機会でもっと詳しく取り上げる予定です。

───次回の仙人のつぶやきもお楽しみに。

[文]福田 雄貴 [企画・撮影]上野 玲子

仙人 / 松坂 孝志(1948年 東京生れ)

幼少の頃から古武道を修め長じて中国人の道士から一指禅(いっしぜん ※1)を伝授されてから治療家が天職になった。惟神(かんながら ※2)の道を根源とする東洋医学と食養正を論理的、体系的に説く「松坂メソッド」で知られ、現在は導龍治療院(御茶ノ水)にて「気功」を基盤とした治療に励み、東洋医学研究家・食用正研究家という顔も併せ持つ。

*東洋医学とは?(東洋医学における「気」「血」「水」の捉え方)
中国では体の中のエネルギーの循環を「気」「血」「水」の三分類で捉えたりもするけども、「血」は「気」と共にめぐり、「水」は「気」と共にめぐる。つまり、「気」「血」「水」を別々のモノとして捕らえたりしてはいけないのである。このような基本的なことを知っていないと、大きな間違いに陥ることがあるので、みなさんにまずご理解いただきたい。

(※1)一指禅(いっしぜん):一切の意識を使わず自然呼吸で行う気功法である。 慧可(えか)は菩薩ダルマより伝授を受けた禅的修練法と中国式武術を統合し、一種独特の修練法である「一指禅功」を作り上げた。
(※2)惟神(かんながら):宇宙の真理に対する誓約(うけひ)の態度。

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