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扇子と団扇 こそれぞクールビズ+(プラス)

クールビズ+(プラス)で、注目されているのが携帯できる扇子です。オフィスでは、冷房による冷えすぎもあますが、ひとたび屋外に出ると、じっとり暑い熱風に見舞われます。そんな時、さっと扇子で涼をとる。こそれぞクールビズ+(プラス)です。

もう一つコンパクトではありませんが、手軽に涼を取れるのが団扇です。団扇のほうが扇子より歴史が古く、古代エジプトの壁画に巨大な羽根団扇を掲げたものにみることができます。

中国から渡来してきた団扇

中国から渡来してきた団扇は、涼をとることより<はらう>に重きがおかれました。奈良の唐招提寺では、750年以上も昔から毎年5月19日にハート型の「うちわまき」を行い、大勢の参拝客でにぎわっていますが、このうちわが「雷難、火難、豊作、病気、安産、産児の健康等 諸願意の如くならずということなし」といわれているように厄をはらうものとして珍重されました。儀式や祈願、占いなどにつかわれた後、形態や材質は時代によって変化してゆき、室町時代末、竹骨と紙を素材とする現在のかたちとなりました。江戸時代にはいると一般大衆に普及し、町民文化が花開くとともに涼をとるものになったり、炊事のときに炭の火をおこすために使われたり、虫払いをしたりなど、さまざまな場面で利用されました。昭和40年代には、伝統的な竹に換わって低コストで生産できるプラスチックを使用したポリ団扇が登場し、花火大会や盆踊り、広告媒体としても多数お目見えしていますね。

扇子はメイド・イン・ジャパン

さて、扇子に戻りましょう。扇子は団扇とは違い、メイド・イン・ジャパンなのです。扇子は、折り畳みのできる団扇であり、広げた状態が「末広がり」に通ずるので縁起のよいものとされてきました。 扇子は、8世紀ごろに誕生しますが、一説によると、木簡を束ねて一端にを開け、紐などで繋いだ物が起源だということです。平安時代の貴族が、儀礼やコミュニケーションの道具としても用いていたことが、源氏物語などの文学作品や歴史書に書かれていますし、武士階級では刀と同じ物と解釈されました。大きさ・種類もさまざまで、夏扇子のほかに飾り扇子、檜扇、舞扇、祝儀扇子があります。

飾り扇子は、装飾用の扇子で日本象徴するような絵が描かれ華やかなので御祝儀や海外のお土産として重宝されます。檜扇は、檜の薄皮をつヾって作った扇で、主として宮中においての儀式に際し、使用されるものです。舞扇は、字のごとく日本舞踊を舞うとき、能楽における小道具として用いられます。祝儀扇子は、冠婚葬祭用の扇子で、縁起物だけに昔からの約束事があり、男女によって地紙や扇骨に特徴があります。女性が和装の際に、懐剣の代用として帯に扇子をさしたりします。使い方も多種多様ですが、舞踊でもお茶席のときでも、座って挨拶をするとき、膝前におき、結界を作って礼を行います。

メイド・イン・ジャパンの扇子は、大航海時代の15世紀には中国を経由して西洋に輸出され、17世紀のパリには扇を扱う店が150軒を数えるほど、上流階級の女性のコミュニケーションの道具として大流行しました。さらに、エジソンが白熱電球のフィラメンに竹製の扇子の骨を使って成功したという話があるように、骨の材質は竹製または木製の物が多く、先端部ほど薄く細くなっています。骨のみの扇子は、白檀などの香木を平たく削って作られ、あおぐとふんわりよい香りがします。

上品でゆるやかな風をつくる扇子、ダイナミックな風をつくる団扇、どちらもクールビズ+(プラス)に一役かえそうな今夏必須のアイテムですね。

[文]やまさき935

ライター / やまさき935(Yamasaki Kumiko)

大阪生まれ、奈良在住。衣食住のライタ-であり、舞踊家(新舞踊、和楽流の家元:和楽扇寿)。
最近は電話占いによるカウンセラーとしても活躍中。

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